芸能人・スポーツ選手等の確定申告コラム

プロゴルファーの確定申告【詳細解説】

本日はプロゴルファー、すなわち、ゴルフを職業として生計を立てている方々の確定申告についてご紹介いたします。

プロゴルファーは個人事業主として確定申告をする必要があるか?

プロゴルファーはそもそも個人事業主として確定申告をする必要があるのでしょうか?まずはこの点について最初に検討を行う必要があります。

プロゴルファーはプロスポーツ選手であり、個人事業主として活動をしているのであれば当然確定申告を行わなければなりません。アマチュアの時など、研修生や会社に所属して活動していた時代は、確定申告に代わる年末調整を会社が行っていたので、もしかするとご自身で確定申告を行うことはなかったかもしれませんが、個人事業主になった場合には、プロゴルファーはご自身で毎年確定申告を行う必要があります。

プロゴルファーが確定申告を行う必要があるかどうかについては判断する場合には、具体的には以下の点について検討を行う必要があります。

(1)プロゴルファーの個人事業主としての事業所得が発生しているか?
(2)給与の年間収入金額が2,000万円を超えているか?
(3)給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超えているか?
(4)その他確定申告を行う必要がある一時所得や不動産所得などが発生しているか?

上記のいずれかに該当する場合には、プロゴルファーの皆様は確定申告を行うこととなります。

プロゴルファーの主な収入源はどのようになっているか?

さて、上記のうち特に重要な論点はやはり(1)でしょう。プロゴルファーの事業所得について考える上で、まず重要な項目が「収入」です。ここではプロゴルファーの収入源について詳しく見ていきたいと思います。プロゴルファーの収入源というのは、一般的にはどのようになっているのでしょうか。

プロゴルファーは、私たちがテレビなどでよく見る「ツアープロ」と、ゴルフを教えるプロ「ティーチングプロ」の2つに大きく分かれています。ここでは、前者のツアープロの収入源を見ていこうと思います。

プロゴルファーの収入は大きく分類しますと、基本的に試合に出場した際にもらうことができる(1)賞金、そして、それ以外の収入として、(2)スポンサー収入、(3)レッスン料、(4)その他などから構成されております。

(1)賞金

プロゴルファーは、野球選手などのような年俸制ではなく賞金制となっています。賞金とは、プロゴルファーが出場した試合の順位に応じて支払われる金額のことです。試合で失格になった場合や棄権した場合、または予選落ちした場合には賞金が支払われることはありません。上位の選手になれば賞金よりスポンサー収入などの方が収入を上回ることもありますが、一般的には賞金がプロゴルファーの収入の大半を占めています。

(2)スポンサー収入

これはどのスポーツでもあることですが、スポーツ用品メーカーなどと契約をして、その製品を使うことで得られる収入のことです。クラブやウェア、ボールなどもゴルフで必要な道具をスポンサーから提供を受けます。これらはやはりプロゴルファーとしても欠かせない収入になってきます。このようにスポンサーから受け取った物品について対価としてお金を支払ってないのであれば、プロゴルファーの皆様は確定申告において雑収入や受贈益などの収益として計上することになります。

(3)レッスン料

これはプロゴルファー全員に当てはまることはないかもしれませんが、例えば、ゴルフ業界は厳しいもので、シード権のない多くの選手は試合にすら出れなかったりします。そのため、ゴルフコースに所属をしてラウンドレッスンをしたり、ゴルフ練習場と契約をしてゴルフレッスンをしたりなどをして得られる収入もあります。

(4)その他

その他の収入としては、ゴルフ雑誌などの出演料、また、プロゴルファーによっては本を出版したり、ゴルフスクールを開いたりすることにより収入を得る場合もあります。大半のプロゴルファーがアルバイトなどの副業をしながらの生活をしているのが現状です。そのため、その他の収入も重要な項目を構成してくることになります。

プロゴルファーの平均年収はどのくらいか?

このようにプロゴルファーは賞金以外にもいろいろな収入があります。では、プロゴルファーというのは、実際のところ、どれぐらいの平均年収があるのでしょうか。

日本のプロゴルファーの上位100人の平均年収は、約3000万円となっており、かなり高収入のように思われます。しかし驚くべきことに上位100人の中でも3000万円を超えているのは10人くらいしかいません。10位以降は、ちょっとできるサラリーマンより少し高いくらいということもできるかもしれませんし、また、100位前後の選手は一般のサラリーマンと同じくらいの水準となっています。

最上位のプロゴルファーは、年収が1億円を超えますし、上位100名で年収は平均で約3000万円となっているものの、平均として考えた場合にはそんなに高い金額ではありません。また、最近は若者のゴルフ離れも進んできています。ゴルフ業界全体の売上が減少してきており、プロゴルファーの皆様が出場できる年間試合数なども減ってきております。ゴルフ人気は低迷してきているように感じます。

プロゴルファーの平均年収は、実際のところは400~500万円程度というのが現実的な数字ではないでしょうか。

プロゴルファーの経費項目について

プロゴルファーはプロサッカー選手や野球選手と違って賞金制ですので、会社などとは契約しておりません。プロ野球選手が試合に出場するときに、エントリーフィ―やプレーフィーを支払っているとは誰も思っていませんし、実際に支払うことはありません。しかしながら、プロゴルファーは試合に出るときにゴルフ場にプレーフィーやキャディ費も支払っています。また、プロテストなど、ツアーに出るための前段階でもかなり高額な費用を支払っています。

プロゴルファーは、これらの費用についてはすべて自己負担のため、出費が多くなります。プロゴルファーが確定申告をする際には、賞金やその他の様々な手当に関しては収入項目として確定申告に織り込んでいきますが、これらの収入項目から必要経費を差し引いて所得を計算し、納付すべき税額を計算し納税する必要があります。よって、実際に何が必要経費になるのかがとても重要になってまいります。

では、プロゴルファーの必要経費にはどのようなものがあるのでしょうか。プロゴルファーとして活動を行っていると様々な場所で経費がかかってきます。どこからどこまでが必要経費となり、どこからどこまでが必要経費とならないのかについては理解しておかなければ、確定申告の際に正確な計算を行うことができませんし、また、節税対策を行うこともできないでしょう。以下ではプロゴルファーの経費項目についてみていきたいと思います。

(1)消耗品費(例:ゴルフクラブ関連 e.t.c.)

プロゴルファーとして活動を行うためには、ゴルフクラブ、ボール、グローブ、ティーなど、様々な消耗品を購入して利用することとなります。これらの消耗品に関しては、消耗品費として必要経費にすることができます。また、プロゴルファーは日々トレーニングを行う必要があると思いますので、トレーニング用品を購入した際の費用も必要経費とすることが可能です。また、経理などを行うために事務用品を購入した際も、必要経費とすることが可能です。

(2)エントリー費(例:大会参加費 e.t.c.)

ゴルフの大会に参加するにあたって、エントリー費も年間を通して考えると結構かかっています。そして、キャディ代も必ずかかってくる費用の1つです。専属のキャディを付けると金額はもっと大きくなります。したがって、実際に専属でキャディを付けているプロゴファーは、賞金を多く稼いでいるほんの一握りしかいません。

(3)旅費交通費(例:ゴルフ場までの交通費、宿泊費 e.t.c.)

この費用はゴルファーの主要経費となります。プロゴルファーは毎週のように試合があり、全国各地を転戦しています。仮に、年間の全ての試合(約30試合)に出場した場合、滞在費や移動費用などを含むと500万円以上は必要となります。これらは必要経費となります。

余談ですが、これらの必要経費を考慮しますと、それでもそれなりに余裕のある生活が出きているプロゴルファーというのは、シード権がもらえる上位70人位の選手に限られそうです・・・。何千人もいるプロゴルファーの中でしっかり生計を立てられる方はほんの一握りです。

(4)トレーニング等料金

プロゴルファーがトレーニングを行う場合、トレーニングルームを利用することがあります。トレーニングルームはトレーニングをするための施設ですので、利用するために料金が必要な場合があります。このとき、自分のトレーニングのために利用するトレーニングルームの料金に関しては、確定申告の際に必要経費とすることができます。それに伴い、プロゴルファーもトレーニングコーチやレッスンコーチもつけることもあるかもしれませんが、その場合の費用も必要経費とすることができます。その他にも練習場代やコースでラウンドをした時なども費用が発生してくるのでこちらも必要経費として処理します。

(5)外注費・メンテナンス費

ゴルフはとても腰に負担がかかるスポーツなので、整体や鍼灸やトレーナーによるマッサージなど体のケアもとても重要です。これに関して、おそらくどのプロゴルファーもしっかり費用をかけていることでしょう。家事関連費用との区分が若干難しいものの、合理的に説明が可能な者は必要経費として処理をすることができます。

(6)税理士や弁護士やコンサルタントに支払う報酬

プロゴルファーが、確定申告の手続きを委託するため税理士と契約をする場合や、仕事がらみでトラブルに巻き込まれ弁護士に訴訟関係をお願いする場合もあるでしょう。プロゴルファーがこれらの税理士や弁護士、その他コンサルタントに支払う報酬についても必要経費とすることができます。

(7)日本プロゴルフ協会会費

プロゴルファーは、男女共にプロテストに合格することで日本プロゴルフ協会の会員になれます。そのときの入会登録費として450,000円、保険料45,000円、年会費42,000円を支払わないなりません。これらの費用についても必要経費として処理をします。

プロゴルファーが確定申告を行う場合の手順

以下では、プロゴルファーの方々が確定申告を行う際の一般的な手順について、以下ご紹介させていただきます。

(1)確定申告のための申告用紙を入手する

最初に最寄りの税務署または国税庁ホームページから確定申告書の用紙を入手することからスタートします。いろいろな用紙があってわかりずらいですが簡単に紹介しますと以下のような種類となっています。

確定申告書A
 主に給与所得者や年金所得者の確定申告書です。
 ⇒プロゴルファーの方で給与所得の方はこの確定申告書Aを利用する場合があります。

確定申告書B
 主に個人事業者や分離課税対象の所得がある人の確定申告書です。
 ⇒プロゴルファーの皆様で個人事業主となる場合には通常はこの確定申告書Bを入手することとなります。

分離課税用(確定申告書Bとセットで使用)
 土地建物等・株式等を譲渡した場合の所得(譲渡所得)や退職所得などがある人の確定申告書です。
 ⇒プロゴルファーの皆様で上記の所得がある場合にはこれも入手する必要があります。

損失申告用(確定申告書Bとセットで使用)
 所得金額が赤字になる人の確定申告書です。
 ⇒プロゴルファーの皆様で所得金額が赤字になることはあまり想定されないと思いますが、もし大きな必要経費がかかって赤字となる場合にはこの用紙を入手することとなります。場合によってはプロゴルファーになったばかりの際には、ゴルフクラブを購入したりトレーニングルームを用意したりと設備投資が大きくなった場合には赤字になる可能性はあります。その場合には、しっかりと赤字額を申告し翌期以降の確定申告で相殺できるようにしましょう。

なお、最近は国税庁のウェブサイトである確定申告書作成コーナーからも確定申告書を作成することができますので、以前よりは確定申告書の用紙を入手して手書きで記載する方は少なくなっております。

(2)確定申告書を作成するための必要情報・必要書類を集める

 
プロゴルファーの方が確定申告を行うために必要となる情報や書類は、ケースバイケースなので一概には言えませんが、例えば以下のような書類が必要となります。
・賞金・手当の支払調書又は源泉徴収票
 ※支払調書は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」という種類のものになります。
 ※プロゴルファーの皆様が講演会などを依頼されて受領した報酬についても支払調書を受け取ることとなりますが、こちらも申告が必要です。
・収入が入金されたり、必要経費が出金される通帳
 ※プライベート用口座と事業用口座は分けたほうが管理や説明が楽になります。
・必要経費の領収書や請求書等
 ※家賃や車両費や携帯電話料金など100%を必要経費にしずらいものについては経費算入した割合についての説明も必要です。
・各種控除のための証明書類(生命保険料控除証明書等)

プロゴルファーの皆様は、シーズン中はお忙しいのでなかなかこれらの準備を行うのが大変だと思います。なので冬の時期に入るとオフシーズンになるので、その時期に確定申告の準備を進めていきたいと思います。特に大変なのは、必要経費の領収書や請求書等を整理しEXCELにまとめる等の作業です。もちろん領収書ごと税理士や会計事務所に提出して、確定申告をお願いするというプロゴルファーの方々も多いと思います。もし、ご自身で行う場合には、親族や友人などの協力が不可欠かもしれません。

(3)確定申告書を作成する

必要な情報や書類が集まりましたら確定申告書を作成していきます。確定申告書には色々な明細を添付する必要があります。そして提出用と控え用と2部作成する必要があります。何かあった場合の確認や翌年以降に確定申告書を作成する上での参考となります。この作業は3月15日までに行うこととなります。

ここで白色申告と青色申告で作成する書類が一部異なってきます。白色申告の場合にはいくつかの税務上の恩恵は得られないが貸借対照表を作成する必要がなく経理処理が必要に楽です。一方で青色申告は事前に税務署に「所得税の青色申告承認申請手続」を提出することで、いくつかの恩恵を受けられますが貸借対照表を作成するなど作成する明細が多くなります。青色申告と白色申告の違いについては別の機会でご紹介させていただきます。

(4)作成した確定申告書を税務署に提出する

作成した確定申告書は提出時の住所地を管轄する税務署に提出することとなります。なお、年の途中で引越した場合には、引越し後の住所を管轄する税務署に提出することになります。その場合には、引越し前の管轄税務署と、引越し後の管轄税務署の両方に忘れずに「納税地の異動に関する届出書」という書類を提出する必要があります。

確定申告は毎年対象となる年の翌年2月16日から3月15日までに行う必要があります。なお、所得税が還付されることとなる確定申告書の場合には、2月16日を待たずしてなんと1月1日からすぐに提出することができます。

提出方法としては、もちろん税務署に直接持参しても大丈夫ですが、郵送にて送ることも可能です。郵送の場合には控えと切手を貼った返信用封筒を同封することに忘れないようにします。なお郵送の際は消印有効ですので提出期限の最終日の消印がもらえれば期限内申告となります。期限後申告となりますとペナルティがあります。

(5)所得税の納付をしたり、または、還付を受ける

所得税の納期限は確定申告期限と同じ3月15日となっています。所得税の確定申告書を提出する際に、同時に納付書に金額を記載の上、税務署、銀行、郵便局、信用金庫等で納付をします。還付申告の場合には確定申告書を提出して1か月くらいしますと指定口座に還付されることとなります。なお還付申告の場合の指定口座はネット銀行の口座は対応していない場合があるので注意が必要です。

なお、住民税の納付については申告した所得税確定申告書をもとに5月までに決定され6月から納付を開始することとなります。したがって、住民税の巨額な納付書が突然自宅に届くということに備えてしっかりと納税資金を確保しておく必要があります。

確定申告においては「何をしたらいいんだろう?」「どんな書類を集めればいいのだろう?」「どうやって書けばいいのだろう?」と不安になることも多いと思います。確定申告についてお困りの際はお気軽にご相談下さい。ご自身でご自身のことを客観的に見つめ確定申告を行うことはとても難しいと思います。是非、弊社の経験豊富な税理士がお手伝いをさせていただければ光栄です。

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